上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
石の花 (1) 石の花 (1)
坂口 尚 (1996/07)
講談社
この商品の詳細を見る

悲劇の国

1941年、ナチスによって分割されたユーゴスラビアがチトーのパルチザンによって解放されるまでを時代背景に、様々な人間模様を描く長編。
解放戦線に参加しながら「俺は人殺しだ」と悩む主人公、その周りの共産主義に疑問を抱かぬ人々、ナチスの高官が語るナチスの理想に反論しきれぬ二重スパイの兄、戦争の後ろで糸をひく人間たち、アウシュビッツで他人の死に不感症になりながらも生き続ける恋人。
ユーゴは何処へ向かうのか。



小学生の頃だった。
実家は中流家庭と呼ぶには貧しいくらいの経済事情で、父は会社勤めで母は家で内職を続けていた。
そんな家庭だからこそ、母親は息子の兄や自分には特に小学校の間、習い事をさせていた。
金銭的にも厳しかっただろうが、ウチの父親が漁師の家の出で高卒という事が母は気になっていたようだ。
せめて息子は・・・・という気持ちだったのであろう。
そんなコト知らずに自分はいつもイヤがっていたのだ。
ただ一つ面白かった習い事というのが、バイオリン教室であった。
その教室は住宅街の中にあっていわいる先生のウチでレッスンを受けるというものだった。
今の自分の風貌と性格から見て、友人たちはそんな過去を話しても信じてはくれない。
でも今実際に弾けることは確かである。
先生のウチの離れというか少し増設した部屋でレッスンをしていたのだが、壁一面には本棚が並んでいて、先生の旦那さんのものだという。
いつも二人で来ていた自分と兄に旦那さんは一つの本を差し出した。
何と言われたか覚えていないが、あまり話したこともない物静かなおじさんに本を借りたのだ。
サイズは文庫版で、一見して小説かと思った。
しかし中身は漫画で見たこともないタッチで書いていた。
「ドラゴンボール」でも「セイント聖矢」でもないその漫画は僕におおきな衝撃を与えた。
そして高校三年の時だったと思う。
ふとこの本のことを思い出した。
先生に聞いて題名を覚えて、書店を探し回った。北海道の田舎にあるはずもなく、取り寄せることににした。当時の自分の金銭感覚はかなりシビアだったからそんな衝動的に買ったのは自分でも意外だった。
612円X5刊なので、当時やっていた新聞配達の仕事の給料の6000円の半分である。
ただ買って後悔なんてしなかった。
坂口尚という素晴らしい作家に出会えたのだから。
この少年時代の記憶が「ユーゴスラビア」という存在への興味を沸き立たせてきた。
「アンダーグラウンド」も「Super8」も「ボスニア」もそれがキッカケで巡り合うことが出来た。


ワクワクするワケではない。重い内容だ。
でも安彦良和の作品を見た時のように、何か胸をうつものがある。
そして惜しい人は亡くした。と読むたび思う。
通な人にしか知られていないみたいで残念だが、ユーゴ・戦争を知る時、この作品は必須だと思う。
でも僕にはあのおじさんのように、たくさんの人が物静かにこの本を読んで戦争を考えているような気もするのだ。

※坂口尚を知りたいなら坂口尚の小部屋
スポンサーサイト
にほんブログ村 映画ブログへ 12.10 (Sat) 18:18 [ コミック ] CM0. TB1. TOP▲
  
コメント
コメントする









       
トラックバック
トラックバックURL
→http://movieholic.blog33.fc2.com/tb.php/49-7c85ef7c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


「石の花」坂口尚
 「石の花」坂口尚 新装版 全4巻読破しました。 昼休み職場で読んでたら上司が「あー知ってるよそれ、手塚先生が書けなかったテーマを引き継いだってやつだよね」と、教えてくれたので、結構有名な作品なのかな。 ジンジッチ氏の暗殺の報もあり、タイムリーな書だと思
     
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。