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常識者がバカを笑うコメディ

連続殺人犯の素顔をドキュメンタリー・タッチで描いてゆくベルギー産の異色作。
生活の為に平然と殺人・強盗を犯し、良心の呵責を微塵も感じていない主人公ベン。
彼の生きざまをドキュメンタリー映画の三人の撮影クルーがフィルムに収めてゆく。
犯罪哲学を饒舌に語り、詩を朗読し、カリスマ的な魅力を放つベンにいつしか彼の行為を記録する側にいたクルーは、それに参加するようになってゆく……。


この映画、評判が悪い。
全編モノクロのドキュメンタリータッチで撮られた映像は本当に殺人を目撃するような気になるし、主人公ベンは最低な人間だ。
でもこれは常識者が撮った、そんなバカを笑う"コメディ"なのは確かである。

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主人公ベンは金を手に入れる為に老人から子供まで殺す。
でも、家に帰れば家族思いの普通の男。家族も"可愛い息子"くらいにしか思っていない。
彼を取材で追うドキュメンタリーの撮影クルーも登場する。
ドキュメンタリーを撮るとき、撮影者と被写体は一線を越えてはならないという原則がある。
撮影者が「こういう画を撮りたいから」と被写体に影響を与えてその画を撮るというのは"過剰演出"であってもう記録映画にはなりえない。
この映画の撮影クルーは目の前に、非常にショッキングで映像としても迫力のある「殺人」が転がっていて、それを撮るうちに感覚が麻痺して自分達も協力してしまう。
「殺人」を撮るために。

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死体は毎回、袋にいれて水路に落とすのだが、たくさん殺しすぎて水路は死体袋で一杯。
これでは隠蔽にならんと自分じゃなく撮影クルーに埋めさせる。

ベンは嫌いなチンピラを殺してしまった事から"街のなんらかのチンピラグループ"に狙われる事になる。
ある日ふいに狙われたベンは撃ったチンピラを追って廃墟の建物へ。
人殺しで多くの金を奪っているくせに、洗礼のときに買ってもらった安いお守りを無くしてと大騒ぎする(追っている途中にもかかわらず)。そんな間抜けな事やってるせいで、一人の撮影クルーがふいに撃ってきた流れ弾をくらって死ぬ。

その後酒場で酔っ払って次の殺人に行こうとするとスタッフが止める。
「あいつがいないから撮影は出来ない。」
すると悲しみだすのだが、スタッフの死に悲しむのではなくて次の殺人に行けない事に悲しんでいる。
親が息子のやった事件とは知らずに新聞を見て、「なんてひどい奴だ、捕まえたら死刑よ!」と怒るが、その息子が逮捕されたら「私は信じているよ」と手を握る。

ラストシーンは「あ~ぁ」とあきれ果てる事間違いない。
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人間の愚かしい行為、でも"もしかするとあり得る事"をこれでもかと見せ付ける本当に悪趣味なコメディ。
カンヌ映画祭では絶賛だったらしく「特別ユース賞」とかいうのを獲っているんですが、ちょっとどうかと思う。
たった三人のスタッフで作った事には感動する。
これだけの迫力のある映画はなかなか作れない。

常識者が「バカだコイツ」と笑うコメディなのはわかるのだが、
世界にはいろんな人がいる訳で、ベンみたいな安直なバカも本当に存在すると思う。
彼がこの映画を見た時、どう思うのだろうか。
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