日本屈指のドキュメンタリーにして
悪夢の撮影記録監督は「極私的エロス・恋歌1974」の原一男。
主人公は神戸市で妻とバッテリー業を営む奥崎謙三。
度々事件を起こしている自称"神軍平等兵"だ。
太平洋戦争時の所属部隊・独立工兵隊第36連隊のうち、ウェワク残留隊で隊長による部下射殺事件があった事を知り、奥崎は遺族と共に真相究明にのりだす。
なぜ、終戦後23日もたってから、二人の兵士は処刑されなければならなかったのか?
奥崎は生き残っているかつての上官を事情を聞きに訪ねるのだが・・・・
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大学に入学試験の面接のとき、「この作品が好きだ」と雄弁に語った覚えがある。
それのおかげかわからないが、入学はできた。
確かに、高校生だった自分にとってこの作品は衝撃と共にドキュメンタリーの力強さを見せ付けられたのだ。
■奥崎謙三

ハッキリ言ってこの人奥崎謙三は決して褒められた人間ではない。
この人の方法論は
暴力。
ウダウダとアジテーションして
暴力。
主張も「神を見た」だの「宇宙人がどうのこうの」とメチャクチャである。
この作品の監督
原一男が"まなざし"を向けたのは、そのエネルギーである。
誠にみっともない茶番を繰り広げ、ワケのわからんアジテーションを繰り広げても、その人間の迫力と生き生きとしたエネルギーは光る。
それは良いことなのか悪いことなのかすら不明瞭であるが、この作品はその
エネルギーの瞬間をカメラで切り取ったことにある。
もう老体のジジイが怒り狂ってさらに老体のジジイに殴りかかる見たくもない悪夢のような光景。
プロダクション・ノートにも書いてあったが、原一男はカメラを回しながら、己の良心と作家性を衝突させていた。
目の前では"最悪の瞬間"であると同時に"最高の素材"がある。
カメラを監督は回し続ける。
「もうマズいですよ止めましょう」と諫める助監督。
原は葛藤する。
「これを撮らずに何を撮る。しかし止めないと。どのタイミングで止めよう・・・」
これがプロである。
プロのドキュメンタリストなのである。あらすじやら派手なクルマやら、検索すればいくらでもそんなことはわかるから書きませんが、ホントに
壮絶です。
奥崎謙三は被写体に過ぎないし、彼のことを少しでも崇拝したとしたら間違いなくアナタは病気です。
ただ、崇拝せずにはいられないような教祖体質特有のあの
エネルギッシュな生命力を奥崎謙三に感じるのは確かでしょう。
ホントに、危険な映画だなぁ。
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